思ったのと違う、とはありがちなもので
味に広がりがる。
味が広がる。
広がる。
口の中で広がっていく。
味に広がりがある……
味が世界に広がっていく……
世界が味で満たされて……味に浸食されていくのだ……
そして始まる広がった味同士の争い。
争いを続ける中でいつしか生まれた融合。
そう、深みである。
深みとなった味は、無意味に広がることをやめ、ただ深度を増すことをのみ求めた。
他の広がりを続けようとする味はそれを見て、己もその深みがほしいと考え始めた。
ただ、深度を増すには単体の味では不可能だ。
そこからは地獄である。
新たな兵器ぷりぷり食感や新たなる派閥・なんでもとりあえず甘ーいっていうから甘いのが最強って事やん派。
自体は混迷を極めていった。
勝利するのは何なのか。
求められる味とは。
味の広がりって物理的じゃ無くね、とは誰も今更言い出すことはできなかった……
みたいなことがグルメをリポートする人の頭の中では行われていたりしない?
しないか。
そうか……