キレッキレな息切れ
俺は気付けば誰かを追いかけていた。
どこかで見た誰かのような気がする誰かを追いかけている。
相手は追いかけれらていることに気が付いているのか、走っていて、こちらを振り向く余裕もないとばかりに疾走しており、速度を緩めることはない。
どうして追いかけているのかはわからない。
しかし、どうしてか追いかけなければならないという焦燥感だけは確かなものとしてあったのだ。
なかなかに狭まらなかった距離だが、徐々に縮まっていくのがわかる。
もう少し。
もう少しで手が届く。
どうして手を届かせなければならないのかも思い浮かばせることはないままに。
手を伸ばす――
その手が肩にかかった。
と、同時に、自らを後ろから掴む感触。
無警戒だった後方からの感触に驚いて俺は振り向いた。
どこかで見たことのあるような背格好をした男が後ろに顔をそらしているのが、見えた。
とかいう短編っぽい夢を見た。
自分で自分を追いかけながら自分に追いつかれるけど結局追いついた自分の顔は見えない。
みたいな。
悪夢金太郎飴と名付けよう。(ネーミングセンス)