溶ける寸前の雪だるま/脊髄反射のように書いてるネタ短文っぽい何か

溶けきるまでの日々。ネタのような雑記のような創作のような文章を垂れ流しているブログ。

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犬は好きでも嫌いでもなかった。

猫も好きでも嫌いでもなかった。

 

可愛いとは思うのだ。可愛らしいはわかるのだ。

向こうからも特別好かれても嫌われてもないのだと思う。

野良ネコが近寄ってくるようなこともないし、ことさら遠くにいて視界に入ればダッシュ! とされるほど嫌悪されてもいないようだし、犬も吠えられたとしてもその犬は大体どんな人間でもその道通れば吠えるような犬だったりした。

 

子供のころ、一日だけ犬を飼っていたことがあるのだ。

自分が飼っていたというか、事情は覚えていなかったが我が家に犬がきたことがあるのだ。

子供だからか少しドキドキしたし、どうしていいのかわからない感情がそこにはあった。

でも家族でうるさいのがダメだったと強権を振るう存在がいたのだ。

そしてその家族が一日で別の引き取ってくれるところを探し、犬は去っていった。

一日である。

自分が特別望んできた、というわけではないのも手伝ったか、感情はどこにいけばいいのかわからない状態だった。怒ってはいなかったと思う。

ただどこにいくでもなく寂しさのような感情が中でふよふよとしているだけだったような気もする。

一日である。事前にわかったことだろうに、とは思った。ただ、犬に申し訳ない気持ちもあったのは確かだ。

犬はその後、元気に子供もできたらしい。

 

 

犬は好きでも嫌いでもない。

もしかすると、好きだったかもしれない。

遠くでワンと聞こえてそんなことをふと思い出す。