ポテトを食え
大体見た夢というものは忘れ去ってしまうものだ。
でも特徴あるやつは覚えてる。
覚えてるというか、忘れようがなく風呂場のカビみたいにこびりついている。
記憶のカビキラーはどこにあるんだ。あれやこれやぶしゅーってやったら消えてくれよ。
ポテトを食え、と茄子に雑な手足がついたゆるキャラみたいなやつに言われる夢を見た。
ちなみに茄子は嫌いだ。昔は好きだったのだけど、今はどうにも味がダメになった。なんでや。あんなに好きだった焼き茄子が今は気持ちの悪い物体にしか感じないのだ。なんでや。中の人変わったんか。変わったなら味の傾向以外も変わってくれよ。
とにかく茄子だ。茄子が茄子を食えといわずに、ポテトを食えという。
ポテトを食え! ではない。ポテトを食え。フラットな感じで呟くようにである。
「いや、昨日じゃがいも食ったよ」
といえば
「違う。ポテトを食え」
と淡々と返されるのだ。怖い。夢の俺は恐怖していないが、実際怖い。
話が通じないとはこういうのをいうのだろうか。
「じゃがいもはポテトでは?」
「違う。ポテトを食え」
マッシュポテトでは? ポテトチップスでは? ポテトサラダでは?
あらゆるポテトへのクエスチョンに、全て同じ返答で返されるのだ。
そんな事を延々繰り返す夢だった。
途中で帰ろうとすれば「待て、どこにいく」と反応はされる。どうしろと。
オチなどない。だって夢だからだ。終わりがないのが終わり感ある。
起きた後に「??…………????????」と戸惑うばかりだ。
これは悪夢のうちに入るだろうか。いや、気分はよくはないのだけど。
なんだろうか。茄子からの啓示なのだろか。ポテト、ポテト食ったらどうにかなるのか。
ポテト。じゃがいもじゃだめなのか。何を食えばいいんだ。ポテトってなんだ。
いつの間にポテトはポテトという概念か哲学になったんだ。
俺はどうしたらいいんだ。茄子は答えを教えてくれない。